気ままにそぞろ歩き
赤城神社元宮

(群馬県勢多郡富士見村)


初回掲載日:2008年8月15日
最終更新日:2008年11月29日

 群馬県赤城山周辺に多数有る『赤城神社』の中の一つである『赤城神社元宮』に行ってみました。

 この赤城神社は、赤城山山頂近く、大沼の畔にある、『赤城山の神』を祀る神社です。

 入り口の石門には『延喜式内神社』と彫り込まれています。『延喜式内神社』とは、延長5年(792年年)にまとめられた『延喜式』の巻第九・十である『延喜式神名帳』に記載された 神社であると主張しているのでしょう。

 実は、この『延喜式』に掲載された神社がどこに有ったのかは、結論がでていません。赤城山の中腹にある『三夜沢』の『赤城神社本宮』も、こちらこそが、その神社であると主張しています。

 山の神を信心する『山岳信仰』としては、御柱祭りで有名な山の神『諏訪大社』があります。山宮から里宮へ御柱を運ぶ祭りですね。この赤城神社元宮が山宮、二ノ宮の赤城神社を 里宮とすると、共通点があり、赤城神社元宮は、山岳信仰として成立した赤城神社山宮であることは想像できます。また、歴史の資料にも詳しく記載されており、古い歴史の神社であることは 間違いありません。

 ややこしいのは、山岳信仰には、その発生において二種類あるということです。

 一つは、『自然神信仰』としての山岳信仰であり、もう一つは、空海上人が提唱した、『山岳仏教』としての山岳信仰です。

 自然神信仰は『神社』、山岳仏教は『寺』と、名称が違うのだから、はっきりしていると思われるかも知れませんが、はっきりと分かれたのは明治時代になってからなのです。

 明治時代になり、政策として神社とお寺とが分離されました。それまでは『神仏混交』であり、その違いははっきりとはしません。そもそも、江戸時代末までの日本の仏教は、神道の良いところを 取り入れた『日本式仏教』なのです。山岳仏教の建物が、『神社』と呼ばれても不思議は無いのです。

 もっとも、空海上人が、山岳仏教を広めたのは、この『延喜式』が編纂されたよりも後のことですから、この神社が山岳仏教の『神社』であったとすると、『延喜式』に記載された神社では無いことになりますけどね。

 この赤城神社が、『延喜式内神社』であるとすると、一つ疑問を感じます。『延喜式神名帳』は、大和朝廷が編纂したものです。よって、朝廷の『神』が祀られている神社と考えるのが自然でしょう。 ご神体は、「日本武尊」や「天照大神」・「XX命」など、大和朝廷関連の神を祀った神社が中心ではないかと思います。民間信仰である『山霊の神』を祀る神社が記載されていたのでしょうか。解りません。

 三夜沢の『赤城神社本宮』の方が『延喜式』に記載された神社とした場合にも、疑問が残ります。江戸時代まで、別の名前(三夜沢大明神)で呼ばれていたという事実を、どう解釈するのか。

 『赤城神社本宮』側の主張では、江戸時代にこの地を支配していた領主により歴史が検証され、三夜沢の神社こそが、本物の『赤城神社』であるとの結論となり、名称を改め(元に戻してということでしょう)たのだそうです。

 赤城山山頂のこの『赤城神社元宮』が、門柱に書かれている通り、延喜式に記載されていた神社『延喜式内神社』なのか、歴史研究はまだ結論を出せていません。

 ただ、、延喜式神名帳の中に、赤城神社という名称は確かに書かれているのは事実です。また、神社では、一つの神だけを祀るのではなく、複数の神様を合祀する ことも一般的に行われていますので、この赤城神社元宮が、『延喜式内神社』と自称しても、咎め立てはできません。霊山赤城山と大沼、絶好の観光地にある神社です。 地元振興のためですので、こここそが『延喜式内神社』であると主張しても、まあ、良いのではと思います。


 大沼の湖畔にある神社です。岸からは、赤い橋を渡って参詣をします。

 『延喜式内神社』と掘り込みの有る門柱と鳥居です。


 湖畔の砂浜に続く境内です。

 コンクリート造り、真新しい本殿です。

 本殿の手前左側の水屋です。水神である龍がいます。この神社の御神体は水の神様なのでしょう。

 本殿の右側はお守りを売る建物があり、その端から本殿を撮影しました。

 本殿を右後方から見たところです。

 神社境内から、土産物屋が立ち並ぶ対岸を見たところです。

 赤城南面道路から入り、土産物屋が立ち並ぶ岸辺より赤城神社を見たところです。

 南面道路から湖畔に入ると、旧の赤城神社跡があります。ずいぶんと背の低い鳥居です。

 社殿が残っています。

 旧神社境内です。

 境内から湖畔への出口です。

 同じく境内から土産物屋のある広場方面への橋です。

 湖畔には、小さな社がありました。

 土産物屋の並ぶ広場に、国定忠治の碑がありました。  



 前橋市三夜沢にある『赤城神社本宮』に湧き出る清水を採水するために出かけました。『赤城神社本宮』はすでに紹介していたことと、時間があったので、 『赤城神社元宮』も掲載しなければ不公平と思い、赤城南面道路を登り、訪問してみました。

 ここまできたら勢いですね。次は、前橋市内の二乃宮にある、『赤城神社二宮』に行って撮影しようと思っています。
写真撮影日:2008年8月13日


hpmanager@albsasa.com Albert 佐々木