本大好き(2002年)

No.2002018 2002/12/29
書名:ナレッジマネジメント
著者:アーサーアンダーセン
ビジネスコンサルティング
出版社:東洋経済新報社
形態:ソフトカバー
初版発行日:1999/07/22
ISBN:4−492−08976−4
価格:1,600円+消費税
 経営改革を目的とした業務の整理と、ムダを省いたプロセスの構築。内需だけではなく外需についても成長が期待できない現在の経済環境下、企業は生き残るために 体質の改善を進めています。それはそれとして大切なことですが、あまりにも、業務がプロセスに分解され最適化、スリム化、単純化されてしまうと、設計したプロセスが予測していないような事態が発生すると、 それに柔軟に対応することが難しい組織体になってしまうという、きらいがありますね。

 そこで数年前から注目されているのが、「ナレッジマネジメント」です。業務プロセスではなく、社員一人一人の頭脳の中にある「知」に焦点を当てて、業務の高効率化を考える視点ですね。 提唱され始めてすでに数年が経過していますが、残念ながら、達成されたという事例をほとんど聴きませんね。それだけ難しいということですね。

 ただ、会社の業務のみならず、個人の知的生産においても、その「知」をいかに管理するか、「マネージメント」するかは、根本的なテーマであることには間違いはないと思います。

 この本は、そんな、難しい「ナレッジマネジメント」の目的と論理的な手法を、図解を使って判りやすく解説した本です。

 著者は個人ではなく、業務コンサルタント会社として定評の高い、アーサーアンダーセンの社員による共著です。

 企業における業務をターベットに書かれた本ではありますが、個人としても、充分に参考になる名著ですよ。


No.2002017 2002/12/26
書名:甘藷百珍・蒟蒻百珍(現代語訳)
著者:不詳
出版社:大曜
形態:和とじ本
初版発行日:1986/01/01・1988/01/01
ISBN:なし 価格:不明
 「豆腐百珍」に続く2冊です。

 これら3冊の現代語訳版の料理本は、本屋で買ったのではなく、なぜか、軽井沢の土産物屋で見つけて買いました。15年以上は 前だったと思います。

 ISBNも表示されていませんから、書籍として正式に発行された本ではないかも知れません。

 江戸時代に出版されたオリジナル本を、神田の古本屋で見かけたことがあります。

 もちろん、初版本ではなく、増刷されたものとは思います。ベストセラーになったと、今に伝わっていますから、そうとうの数が刊行されているでしょうし、 一般庶民を対象にした本ですから、当時でも高価ではなかったと思います。手に入れることは、今でも可能かと思います。

 ただ、崩した字体での木版刷りなので読みにくいですし、当時も貴重本でもなかったのですから、保存も良くは無く、綺麗ではなかったと記憶しています。

 まあ、特に収集家でもなければ、内容が判れば良いのですから、現代語訳で充分ですね。

 出版社連絡先:
   株式会社 大曜
   京都市山科区勧修寺冷尻町7
   (075)593-2121

No.2002016 2002/12/26
書名:豆腐百珍(現代語訳)
著者:不詳
出版社:大曜
形態:和とじ本
初版発行日:1985/01/01
ISBN:なし
価格:不明
 「豆腐百珍」は、天明二年(1782)に刊行された、豆腐料理の本です。この本は、その現代語訳です。イラストも豊富な楽しい 読み物(料理本ですが(^ム^;)に仕上がっています。

 豆腐の調理法を、尋常品・通品・佳品・奇品・妙品・絶品の6種類に分け、説明しており、この本の通りに作れば、江戸時代の味を 復元できる(材料が手に入ればですが)本です。

 オリジナル本は、当時、ベストセラーとなりました。気を良くした版元からは、続いて「甘藷(いも)百珍」「蒟蒻(こんにゃく)百珍」と刊行が続いています。

 それでは、「絶品」の中から、3品を紹介します。

・湯やっこ:
 豆腐の料理法としては、第1級であると書かれていますが、早い話が「湯豆腐」です。ただ、面白いのは、水を沸かした「湯」ではなく、「葛(くず)湯」に 小さめに切った豆腐を入れ、暖め、動き出したところを引き上げて、煮立てた醤油に花かつをを入れたタレで食べると書いてあります。

・辛味とうふ:
 かつおのだし汁に、うす醤油で味をつけ、おろし生姜をたくさん入れ、豆腐を1日煮る。

・油揚げながし:
 豆腐を適当な大きさに切り、胡麻油で揚げ、すぐに水に入れて油を抜く。葛湯に、揚げた豆腐を入れ、浮き上がるところをすくい上げ、わさび味噌をつけて食べる。

 どうです、美味しそうではありませんか。


No.2002015 2002/12/22
書名:新・知の技法
著者:小林康夫/船曳建夫
出版社:東京大学出版会
形態:ソフトカバー
初版発行日:1998/04/21
ISBN:4−13−003312−3
価格:1,600円+消費税
 「知の技法」が出版されたのが1994年の4月でした。その後、毎年4月に順じ「知の論理」「知のモラル」と出版され、1年の中休みを置いてこの「新・知の技法」が出版されました。

 『「知の技法」から4年。古い制度が次々と解体していく。この機器の時代に知とはどのように現実を問うのか?。知のさまざまな技法のうちに未来のポリティクスすら夢みて、知の現場をいま、また開く。技法Ver.2.0.駒場発。』
カバーより


 今回の新バージョンは、この4年間に変化した社会事情をふまえ、かつ、1)日本、2)言語、3)身体という新たな軸を設定して編集されています。

 最初に出版された「知の技法」から4冊が出版されていますが、実は、香港に転勤する以前には、第1冊目の「知の技法」しか読んでいませんでした。2冊目の「知の論理」を買い、読んでいる 途中で転勤になったのです。その後の2冊は買っていませんでした。帰国し、遅ればせながら読み始めています。

 これからの展開がどうなるのか。4冊目のこの「新・知の技法」からすでに4年が経っていますが、「新・知の論理」も「新・知のモラル」も出版されていません。ちょっと残念ですね。


No.2002014 2002/12/21
書名:知のモラル
著者:小林康夫/船曳建夫
出版社:東京大学出版会
形態:ソフトカバー
初版発行日:1996/04/10
ISBN:4−13−003307−7
価格:1,500円+消費税
 ベストセラーとなった「知の技法」シリーズ三部作の完結編が、この「知のモラル」です。

 『知と生とが出会う現場にかならず立ち現れるモラルの問題。新しい知が新しいモラルの地平を開くことができるかどうか。混迷を深めるこの世界のなかで、魂のもっとも深いところから、 未来への遠い手さぐりのようなモラルの問いをあえて共有する』
カバーより


 実利を追う「勉強」の世界ならばいざ知らず、純粋な「学問」や「知」の世界を追求して行くと、そこには、ドロドロとした現実の世界と相容れない部分と、どうしてもぶつかってしまう。 そんな場面での判断基準が「モラル」なのかも知れないと思っています。ただ、この「モラル」でさえも、現実社会が創り上げた「虚像」かも知れない。

 「知の技法」「知の論理」「知のモラル」からなる三部作は、私達に、「知」とはなにか、その本質と問題点はどこにあるのかを、明確に提示してくれています。

 研究者の卵たち向けの教科書ではあるのかも知れませんが、「知」を持って生きている私達人間に共通の教科書でもあると思います。

ぜひ、一読をお勧めします。


No.2002013 2002/12/19
書名:知の論理
著者:小林康夫/船曳建夫
出版社:東京大学出版会
形態:ソフトカバー
初版発行日:1995/04/12
ISBN:4−13−003306−9
価格:1,500円+消費税
 ベストセラーとなった「知の技法」の続き出版された続編が、この「知の論理」です。

 ただ単に、前作が売れたから出したというのではなく、

「さまざまな学問領域においてどのような論理が発明され、どのように用いられ、それがいまの学問状況においてどのような問題を提起しているかを、 できるかぎり具体的な現場を通して論じることを主眼にしています」

 と、かかれているように、「知」とは、「論理」に裏打ちされたもの、ただ振り回すものでもなく発散するものでもない。 このことを、この本は明確に定義しています。

 「知」とはすばらしいものです。私など、とうてい到達することなどできない世界がそこにはあるとは解かっていますが、一生探求して価値あるのが「知」であり、そのための「知的生産の技術」なのではないかと 思っています。

 物つくりで生きてきた日本です。「知」の切り売りで済んでいたのが物つくりです。しかし、これからの日本は、閉ざされた独特の文化や知の世界の中では生きられない、世界に通用する「知」でしか生き残れないのでは ないでしょうか。普遍的な「知」と「知の論理」を考えなければ成らないときになっていると思います。


No.2002012 2002/12/15
書名:知の技法
著者:小林康夫/船曳建夫
出版社:東京大学出版会
形態:ソフトカバー
初版発行日:1994/4/11
ISBN:4−13−003305−0
価格:1,500円+消費税
 8年前の「知」の大流行を作ったのがこの本ではなかったかと思っています。

 『東京大学教養学部の「基礎演習」テキスト』と、小さな字で印刷されているこの本は、東大文型の1年生用の教科書として書かれた本です。

 大学に入学した学生に、これまでの高校での「勉強」と、大学での「学問」とは違う。どこがどのように違うか、本格的な大学教育をこれから受ける学生を対象に、 教養学部の各先生が、それぞれの分野をふまえ、学問の面白さを、解かりやすい普通の言葉で書かれている「学問への入門書」です。

 「知」をテーマにベストセラーになったこの本の編者である、船曳教授を招いて「知的生産の技術研究会」がセミナーを開いたのが、出版の翌年、95年の1月でした。 その時の講演を録画したビデオテープを私は今でも保管しています。

 この本に続き、「知の論理」「知のモラル」と3部作が続き、4年後の1998年に「続・知の技法」が出版されています。

 読みやすい文体で書かれている4冊です。どの本も、お勧めです。

No.2002011 2002/12/08
書名:日本の盛衰
著者:堺屋太一
出版社:PHP研究所
形態:新書
初版発行日:2002/10/29
ISBN:4−569−62486−3
価格:780円+消費税
 10年以上も続く不況の日本、一向に先が見えないことが苦しいと感じています。

 堺屋太一氏といえば、1985年に出版したベストセラー「知価革命」の中で、生産中心の日本の産業構造を「知」をキーワードとした産業構造に切換えなければならないと警告を発しています。

 ちょうどその頃は、東京大学出版から、「知の技法」が出版され話題となり、「知の論理」と続く「知の三部作」が出版されるなど、「知」のブームでもありました。
 私も、毎週のように各種の勉強会に参加し「知的生産の技術研究会」に入ったのもこの頃です。
 今はすっかり、「知」のブームも去り、知的生産を論議する人も少なくなってしまっているのが昨今です。企業だけではなく、人まで、余裕がなくなってしまっているのですね。本当は、今だからこそ 「知」を大切にしなければならないと、私は思うのですが、残念です。

 そんな、堺屋氏の警告を無視して突き進んだ日本だから、現在の状況があるのでしょう。この本は、「日本の近代、明治以来百年余、この国が築き上げてきた企画対柳雄生産型社会の由来を語り、 その現状と破綻の理由を説き、そしてこれから進むべき未来、知価社会の有様について述べるものである:本文より引用」、との観点から書かれています。

 若干、かつての著作「知価革命」を自ら礼賛していて「臭い」ですが、そこはそこ、日本を代表する経済評論家ですから、書かれている内容は正しいと思います。

 ただ、かつては経済企画庁長官であり、今でも内閣特別顧問なのですから、だったら、なぜ、国をあなたの主張のように指導してこなかったのか。 できなかったあなたの責任は、と問いたくなるのですが、それは、私が意地悪だからでしょうね。


No.2002010 2002/12/01
書名:近世風俗志
著者:矢田挿雲
出版社:岩波書店
形態:文庫
初版発行日:1996/05/16
ISBN:(第一巻)4−00−302671−3
価格:(第一巻)980円+消費税
 この本も、江戸時代の風俗について書かれた随筆です。江戸時代の700項目を超える事物について、図を多用して 事細かに解説しています。まるで、江戸風物の百科事典のようです。

 時代小説が大好きな私にとっては、座右のバイブルですね。

 最近の江戸風俗ブームから、この種の本が多数発刊されていますが、この本は、書かれたのが天保年間です。資料を あたり、研究して書かれたものではありませんから、その信憑性は高く、むしろ、この本をベースに現代本が書かれて いるのでははいかと思っています。

 現代語訳されていますので、読みやすく、時代小説好き、江戸風俗・文化を研究している方にはお勧めですよ。


No.2002009 2002/11/27
書名:新版 江戸から東京へ
著者:矢田挿雲
出版社:中央公論社
形態:文庫
初版発行日:1998/09/03
ISBN:(第一巻)4−12−203246−6
価格:(第一巻)1,143円+消費税
 江戸時代から明治にかけて、東京の町に残る古跡や町並みを題材に、地理・歴史・風俗・伝説など各方面から生き生きとした筆で 書き綴る名著です。

 著者は、明治15年の生まれ、正岡子規に師事した俳人です。

 分厚い文庫本で9冊の大きな本ですが、まだまだ江戸時代を生きた人達が存命の頃に育った著者が、現代の私達に残してくれた 貴重な資料でもあります。

 堅苦しくない平易な文章で書かれたこの本は、読み物としても、充分に楽しめると思います。


No.2002008 2002/11/23
書名:デジタルカメラ
    QVデジタルビジネス活用術
著者:佐々木篤
出版社:秀和システム
形態:書籍
初版発行日:1996/07/25
ISBN:4−87966−557−6
価格:1,262円+消費税
 まだデジタルカメラが出たばかりの頃に、私が執筆した本です。

 カメラそのものの使い方だけではなく、それを、ビジネスシーンでの活用という面に注目し、 オリジナルアイディアを中心にまとめてあります。

 デジタルカメラが世に出て話題になり、使い方の本が多数出版されていた中で、ビジネスシーンでの活用に 焦点を当てて書いたこの本は、自分のことではありますが、知的生産に関心の深い筋からは好評を得ました。 インターネットで検索すると、今でもこの本を紹介しているホームページがいくつか残っています。

 ただ、一般的な活用本ではないので、商業的には成功とは言えず、残念ながら部数は伸びませんでした。ただ、 コンセプトには間違いは無い、古さも無いと今でも思っています。

 その後、カメラそのものの性能も飛躍的に伸びていますし、周辺機器も揃ってきている。新たな活用のアイディアを加え、 抜本的な改訂版を出したいところなのですが、この本を出した時の担当編集者も今は出版社を辞めてしまっていて コネクションが切れてしまいました。

 どこかの出版社の方、このホームページを見ていらっしゃったら、検討をお願いしますね(^ム^;)


No.2002007 2002/11/19
書名:耳ふくろ(上・中・下)
著者:根岸鎮衛
出版社:岩波書店
形態:文庫
初版発行日:1994/01/18
ISBN:4−00−302611−X
価格:各770円+消費税
 幕末にかなり近い頃の江戸町奉行(幕末の江戸奉行の一人は、ご存知、遠山金四郎ですが)だった「根岸鎮衛」が書き残した、 江戸諸事四方山話集です。

 根岸肥前守こと、根岸鎮衛は、商人の家に生まれ、御家人の株を買ってもらって下級武士の養子になり武士の資格を得た人ですが、 あまりにも有能なことから、昇進に次ぐ昇進を重ね、新潟奉行になり、そこでも実績を上げ、最後は、高級旗本が就任する職ではあっても、 実質は大名格(旗本が就任できる最高の役職)の江戸町奉行にまでなった、まさに江戸庶民のヒーローの一人なのです。

 ちなみに、江戸幕府三奉行のうち、寺社奉行と勘定奉行は大名職です。親藩の大名が就任する職ですから、旗本は就くことができません。 テレビの時代劇などでは、時代考証がいいかげんなことから、三奉行を同じ様に扱っている(高級旗本が勘定奉行になって不正を働いたり) ことが多いですが、旗本が就任できるのは、町奉行だけです。

 江戸町奉行と言うと、大岡越前や、遠山金四郎が有名ですが、それは講談の世界、実は、この根岸肥前守の実績を題材にしたの ではないかとも言われています。根岸肥前守は、まさに、本物の名奉行だったのです。彼がすごいのは、下世話に通じていたこと。 町人の出身であるだけではなく、恐るべき努力を重ねて情報収集をしていたのです。その集大成がこの本です。

 彼は筆まめであり、独自の人脈(能力さえあれば、気軽に町人や浪人者と付き合っていた)を通じて、下世話で起こった諸事実を収集し、 書き残した日記のような記録文集がこの「耳ふくろ」なのです。

 実は、現代作家が書く捕物帳などの作品のなかにも、この本からアイディアを借用したものが多く、その筋の人にとっては、 バイブルのような本です。もちろん、私にとっても(^ム^;)

 この本は、肥前守作の原文を、現代語に翻訳していますから、読みやすいと思います。ここには、本物の「江戸」が生き生きと 描かれています。

No.2002006 2002/11/17
書名:経営用語の基礎知識
著者:野村総合研究所
出版社:ダイヤモンド社
形態:単行本
初版発行日:2001/10/12
ISBN:4−478−30063−1
価格:1,500円+消費税
 6年間日本を離れ、海外で工場の運営の仕事をしていました。

 本社から指示はくるものの、本社の方針などの発表資料は、基本的に日本側中心に書かれていて、海外会社は独自に運営する、独立自営が基本だったことから、あまり真剣に読んでいなかった(^ム^;)

 海外の工場は、ともかく現場主義です。実際の物を生産しているのですから、対象がはっきりとしている。言葉は要らない、実績が数値になって毎日現れるからです。

 ところが、日本に帰ると様子が違う。コントロールセンターとしての機能を持つ本社ですが現場は無い。言葉と、その表現が仕事のかなりの部分を占める、現場とは全く違った世界です。

 6年間の不在中に、この、言葉が変わってしまっていました。元々日本人は、外来語を始め、新しい言葉が大好き。一般生活をするにしても、そんな流行語を多用したがる(普通の会話に「リベンジ」なんて使わなかった)クセがありますね。

 これが、経済用語や経営用語となると、元々海外から手法や考え方が入ってくることが多いので、外来語が中心です。そんな言葉を使いこなせば、それで仕事ができてしまう。言葉を知っていれば優秀と、間違った考え方の方が、むしろ体勢をしめていますね。

 帰国して出社した会社で、同僚や上司が話している言葉がまったく解かりませんでした。みょうちくりんな専門用語や3文字・4文字のアルファベット用語が氾濫しているのです。

 しかたなく、買ったのがこの本です。経営用語を中心に、マーケッティング・生産・研究開発・人事・財務家系から法律用語まで、そんな「新語」を解説した本です。

 解かりにくい言葉類ですが、解かりやすく「普通の言葉」で説明しています。これでようやく、浦島太郎状態から、現代人に復帰できそうです(^0_0^)


No.2002005 2002/11/10
書名:英語「超基本」を一日30分!
著者:尾崎哲夫
出版社:角川書店
形態:新書
初版発行日:2002/01/10
ISBN:4−04−704064−9
価格:571円+消費税
 これまでに、この種の本をいったい何十冊買ったことやら。自慢することではありませんが、 最後まで読んだ本は一冊もありませんでした(^ム^;)

 これまで買った本は、なぜ読まなくなってしまうのかと、常々考えていましたが、解かりませんでした。

 この本を読んで、取り上げられている例文が、難しすぎたりやさしすぎたり、自分の生活シーンと合わないなどが、 読まなくなってしまう理由であると、気づきました。この本は逆なのです。

 この本で取り上げられている例文は、それこそ、私達が、日常直面する、そんな会話表現が多いのです。その分、目新しい、 新規の知識が得られるといったたぐいの内容ではありません。ただ、「そうだよね、こんな風に表現するんだよね」、 忘れかけていた知識を、鮮明に目の前に展開してくれる、そんな本です。

 日常会話は、中学卒業程度の英語力で充分可能です。そんなことをあらためて解からせてくれるのがこの本です。

 この本を読めば、自分の英語力も捨てたものじゃないと、自信が付くと思います。お勧めです。

No.2002004 2002/11/04
書名:清水 崑 かっぱ天国
著者:清水梢太郎/編
出版社:らくだ出版
形態:単行本
初版発行日:1993/12/20
ISBN:4−89777−175−7
価格:1,456円+消費税
 清酒黄桜でおなじみの「清水 崑」氏の漫画集です。私が持っている、唯一の 漫画本です(^0_0^)

 同じく、河童の漫画を書いている横山隆一氏(河童連邦共和国名誉大統領)が 序を書いています。個人的にも親交が深かったようです。夜店で似顔絵を書いて いた崑氏を、才能を見抜き、横山氏が作っていた漫画集団に崑氏を誘ったのが、 崑氏が漫画家になるきっかけのようです。その集団に初めて参加したときに、崑 氏が、横山氏に言った言葉が「おい、横山、金をかせ」だったとか。

 崑氏は、貧乏をしていても、くったくのない、天真爛漫な性格だったようです。 そんな性格から、あの『かっぱ』が生まれたのでしょうね。

 ほのぼのとして、それでいて色っぽい、「崑かっぱ」です。気持ちがちょっと 落ち込んでいるときなど、気付け薬になること請け合いの漫画集です。

 この本、実は、香港にまで持っていった本です。日本から香港、中国を経由し て、また日本に帰ってきた。

 お疲れさまの、かっぱさん達です(^ム^;)

No.2002003 2002/11/02
書名:日本語を反省してみませんか
著者:金田一春彦
出版社:角川書店
形態:新書
初版発行日:2002/01/10
ISBN:4−04−704066−5
価格:571円+消費税
 最近は日本語ブームなのだとか。新書を中心に日本語を扱った書籍が多数出版されていますね。 私には嬉しいことなのですが、この本はちょっと違っています。

 書名からは、あたかも、正しい日本語の使い方の本といった印象を受けてしまいますが、内容は、春彦先生の 日本語を題材としてエッセイ集に私は思えてなりません。

 社会人のための日本語の教科書と期待して読まれると、がっかりとするかも知れません。しかし、私には 面白い本でした。ボーレイ茶を少し濃い目にいれ、おせんべいを傍らに、一気に読んでしまいました。

 お父上の金田一京助先生の本は、いかにも真面目で几帳面な、ご本人の性格が現れた著作が多いと感じていますが、 ご子息である春彦先生の本には、これもまた、性格が現れているのでしょうね、こんな感覚のものが多いですね。 ぜひ、お会いしてお話を聴きたい、そんな方の中のナンバー・ワンです。

 この本に限らず、最近の新書には軽い読み物風なものが増えています。以前の感覚では、文庫に比べ、新書には ちょっとアカデミックな、難しい本とのイメージがあったと思っていますが、これもまた世間一般の風潮なのでしょう、 新書までが軽くなってしまいました。まあ、昔を懐かしむほどの歳ではありませんがね(^ム^;)

No.2002002 2002/10/27
書名:「大東亜」戦争を知っていますか
著者:倉沢愛子
出版社:講談社
形態:新書
初版発行日:2002/07/20
ISBN:4−06−149617−4
価格:680円+消費税
 先の大戦について、その歴史認識についての議論が、国際的に平行線を描いたまま続いています。

 これまでの日本側の対応が、自虐的であるとの主張から、歴史認識を見直す動きがあり、その観点から作った 教科書について、アジア各国から、強さには差があるものの、批判の声が上がっています。

 戦争だから、それぞれの国により認識に違いはあるものです。それは仕方がないとして、私達日本国民は、 右左の差はあるでしょうけれど、大戦についての正しい事実関係に基づいた認識があるのだろうか。あって、 その上での議論をしているのだろうか。私にはそれが疑問でした。

 そもそも、大戦そのものの経緯についても、疑問が山ほどある。例えば、どうして、戦争の始めの時点では、 信じられないほどの快進撃が可能だったのか。次に、それが、ある時点から、一気に崩れていったのはなぜなのか。 今でも、日本人を恨み、憎しみを持っているアジアの人たちが大勢いるのはどうしてなのだろうか。

 今、歴史認識の違いで議論になっていることは、戦争に至った経緯と、残虐行為が有ったのか無かったのか、 結果としての行為が、戦争という異常事態の中での仕方の無かったことなのか、そうではないのかという議論ですね。 もちろん、それらの議論は必要ですが、その前に、知っておかなければならない戦争の疑問点、そんなポイントの一端が、 この本には書かれています。

 この本の著者は、東南アジア史の研究者ですが、教科書騒動を起こしている座して議論する学者達とは違い、実際に 占領下だった南アジアに長く住み、現地に溶け込んで行った取材を通じての研究者です。生まれてから高校卒業まで、 インドネシアで育ち日本を知らない自分の娘(日本人)に向けて、語る口調で綴ったこの本は、一読の価値があると思います。

No.2002001 2002/10/26
書名:中国全省を読む地図
著者:莫邦富
出版社:新潮社
形態:文庫
初版発行日:2001/12/01
ISBN:4−10−130023−4
価格:476円+消費税
 中国の一部、香港に6年近くも住みました。北京や上海、四川省の成都に福建省の福州、広東省の シンセン市には半年住みました。正確には中国ではありませんが、台湾も台北しか知りません。 しかも、それらは、中国でも驚異的な発展を成し遂げつつある大都市ばかりです。

 中国は、22省・4直轄市・5自治区・2特別行政区があります。そんな巨大な中国です、 私が知っているのはごく一部です。特に、省の名前をいわれても、「河南省」がどこにあって どんな特徴がある地域なのか、はなはだあやふやになってしまいます。

 上海生まれのジャーナリスト「莫」氏が、中国全省・地域について、その地勢 的な説明と、主に経済について解説したこの文庫は、小さいながら巨大中国の個 性あふれる各地を知る上でとても便利な本でした。

 昨年の暮れの出版ですから、内容的にも新しく、これだけまとまっていて、 しかも詳しくなり過ぎず、おおまかな中国を知ることのできる本は珍しいと思い ます。

 もちろん、観光情報も充分に入っていますので、中国旅行にはお勧めの携帯本 です。


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phmanager@albsasa.com Albert 佐々木